ハイライト
1. イネは、世界のメタン排出量の 12%を占めている。これに対してイネは、メタンの排出量が最大70%少ないイネの新品種を育成することができたと報告している。低フマル酸・高エタノール(LFHE)イネ品種を中国全土のさまざまな圃場で栽培したところ、LFHE イネは交配元のエリート品種と比較して、メタンの発生量が平均 70%減少した。また、2024 年の世界平均が 4.71 トン/ヘクタールであるのに対し、LFHE 品種は平均 8.96 トン/ヘクタールと高収量である。
2. もともとの Coq1 遺伝子を編集し、収量に影響を与えることなく、CoQ9 の代わりに CoQ10 を生産するイネ新品種を開発した。このゲノム編集イネは、穀粒と葉の両方に CoQ10 が 75%以上蓄積されていた。
3. 遺伝子組換えコムギは、非遺伝子組換え系統に比べて AsA レベルが有意に増加し、温室条件下での塩ストレス(mm)に対する耐性が向上した。MDAR1による AsA 蓄積は、コムギの生育特性を改善し、高塩分耐性能力を高めると結論づけた。
4. 2 つのコムギ遺伝子、RXLと Pm5e が NLR ペアとして機能し、うどんこ病に対する抵抗性を媒介することを発見した。
5. Br2遺伝子のノックアウトベクターを設計し、トウモロコシの近交系品種に明確な変異を持つ7つの遺伝子導入系統を同定した。実験によると、エリート近交系との交配から生まれた雑種子孫はすべて矮小であった。
6. 高フラボノイド・コーン系統を食べた幼虫は、死亡率が増加し、体重が減少し、リーキーガット症候群(leaky gut syndrome)に似た症状を発症することを発見した。フラボノイド過剰生産系統を食べたトウモロコシの幼虫は、対照系統を食べた幼虫と比較して、死亡率と体重に有意差があることを観察した。遺伝子組換え系統と突然変異体由来の系統の両方が、幼虫に同様の効果を示した。
7. ティラピア生産大手の Brazilian Fish 社は、米国の Center for Aquaculture Technologies (CAT)と提携し、ブラジルにおけるゲノム編集ティラピアの開発に成功したことを発表した。この画期的な出来事により、ティラピアは世界市場において、より持続可能で競争力のある、利用しやすいタンパク源として位置づけられることになる。
以上の他、CRISPR を使って香り高いピーナッツを開発や水銀汚染と闘う人工動物の開発などがあった。
植物
- 高収量イネはメタン排出量を最大 70%削減
- ZQTALEN:シンプルで効率的な植物用ゲノム編集ツール
- 英国におけるゲノム編集コムギが圃場試験に向けてAdvisory Committee on Releases to the Environment (ACRE)の承認を得た
- コムギの主要遺伝子がうどんこ病に対する抵抗性を付与
- トウモロコシの草丈を低くするゲノム編集法を開発
- 発芽を阻止して STRIGA に抵抗するソルガムの遺伝子を特定
- 植物の耐塩性育種を解明する研究
- ゲノム編集食品に対する消費者の受容を明らかにする研究
- フラボノイドを多く含むトウモロコシ系統が主要作物の害虫を駆除することを発見
- 遺伝子組換えでコムギの耐塩性が向上
食糧
- メキシコが GM トウモロコシ規制を USMCA 裁定に従い解除
動物
- 水銀汚染と闘う人工動物
- Brazilian Fish 社と Center for Aquaculture Technologies (CAT)がブラジル初のゲノム編集ティラピアを導入
ゲノム編集に関する特記事項
- CRISPR がマメの遺伝子の窒素固定強化に光を当てる
- ゲノム編集を用いてトマト葉巻ニューデリーウイルスに対抗
- CRISPR を使って香り高いピーナッツを開発
- 中国の科学者がゲノム編集で CoQ10 生産イネを開発